10/10/2024
Rustの採用により、ETASは車載ソフトウェア開発をさらに効率化
- オープンソースのプログラミング言語であるRustは、メモリ安全性、パフォーマンス、そして並行性を重視
- 今後RustをETASのポートフォリオに実装することで、車載ソフトウェアのエンジニアリングにおける重要課題を解決
シュトゥットガルト(ドイツ)2024年10月10日 – 自動車業界がソフトウェアデファインドビークルの未来へ向けての歩みを加速する中、堅牢かつ高信頼性の安全ソリューションの必要性はかつてないほどに高まっています。車載セキュリティソリューションのリーディングプロバイダーであるETASは本日、将来の組み込みソフトウェアにプログラミング言語Rustを採用することを発表しました。これは、より安全で高信頼性、かつ効率的な車載ソフトウェア開発のためのパラダイムシフトの表明です。
従来のプログラミング言語は強力である反面、最新の車両の厳しい安全・セキュリティ上の要求に応えるには、しばしば困難な課題もありました。その理由は、従来のソフトウェア開発ではメモリと並行性の管理が複雑になるのを避けられない点にあります。
「ETASは安全とセキュリティを最優先事項としています。私たちは、当社のパートナーが最先端の車載ソフトウェアを開発するために必要なツールや技術を提供するため、全力を尽くしています」と、ETASの社長であるDr. Thomas Irawanは語っています。Rustはメモリ安全性、パフォーマンス、そして並行性を重視するオープンソースのプログラミング言語です – つまり、車載アプリケーションの厳格な要件を満たすために必須の特性を備えています。
Rust – コラボレーションにより車載システムのイノベーションを強化
Rustは従来の言語の短所を克服することを目指しています:
- スタートからのメモリ安全性:Rustは従来の言語とは異なり、コンパイル時に起こりがちなバッファオーバーフロー、逆参照、データ競合といったプログラミング上のエラーを防止し、メモリの安全性を保証します。
- 複雑さのない並行性:今日の車両は、同時に複数のタスクを処理するために並列ソフトウェアを必要とします。Rustの並行性モデルは並列ソフトウェアの開発を単純化し、データ競合のリスクがない、正確で効率的なコードの記述を容易にします。
- 妥協なしのパフォーマンス:Rustは高パフォーマンスを保証するよう設計されているため、組み込みシステムやその他のパフォーマンス重視のアプリケーションに理想的なものとなっています。
- より安全でスマートな未来のためのコラボレーション:Rustは大規模で活動的なコミュニティに支えられているため、迅速な開発、広範なライブラリ、優れたツールなどを活用できます。そうした利点を通じて、開発サイクルの加速化やコードの質の向上に貢献することができるのです。
ETAS – 車載ソフトウェア開発の未来を拓く
ETASは、Rustの強みを生かして車載ソフトウェアのエンジニアリングにおける重要課題を解決するべく、製品ポートフォリオと開発ワークフローにRustを組み入れる取り組みを始めています。
- オープンソースのコラボレーション – Eclipse SDV Rust Special Interest Group:ETASはオープンソース開発へのコミットメントをさらに強化し、Eclipse SDV(ソフトウェアデファインドビークル)Rust Special Interest Group(SiG)の設立に中心的役割を果たしました。このグループは、自動車メーカー、クラウドプロバイダー、および広大なRustコミュニティにおける相互のコラボレーションとナレッジの共有を推進する拠点となるものです。自動車業界のイノベーションを後押しし、Rustを速やかに普及させるには、オープンなコラボレーションが不可欠であるとETASは確信しています。
- 「CARS」と「Mage」のプロジェクト – RustでAUTOSAR Classicの開発を再定義:ETASは「CARS」プロジェクトにより、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)対応開発の刷新を率先して進めています。ETASが作成するRustベースの包括的なAUTOSAR向けツールチェーン、すなわちCARS(Crate for AUTOSAR development in Rust:RustのAUTOSAR開発クレート)を使えば、業界標準アーキテクチャであるAUTOSARに準拠した開発を、よりスムーズかつ効率的に、しかもセキュアに行うことができます。ETASのAUTOSAR Mageプロジェクトは、RustベースのコンポーネントをAUTOSAR Classicに統合することを可能にします。開発者は既存の車載アーキテクチャとの互換性を維持しつつ、Rustの安全性とセキュリティの恩恵を受けることができます。
- ETASのADAS/AD向けミドルウェアソリューション – 安全性を保証:ETASは、ADAS/ADアプリケーション向けの特別仕様のミドルウェアソリューションの設計にRustを活用しています。このミドルウェアと付属のSDK(ソフトウェア開発キット)は、スピーディで効率的なプロセスによる安全なADAS/AD車両機能の開発を実現します。
「未来の車載ソフトウェア開発では、安全で効率的な最新のアプローチが求められます。Rustはそうした特性を形にし、我々の次世代ソフトウェアデファインドビークルの開発力を一層高めてくれるのです」と、ETASのチーフソフトウェアアーキテクトのDr. Hendrik Postは述べています。
ETASについて
ETAS GmbHは、ボッシュグループの完全子会社として設立されました。現在では欧州、北米、南米、アジアの12カ国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。ETASのポートフォリオは、ソフトウェアデファインドビークルを実現するためのソフトウェア開発ツールやソフトウェアテストソリューション、車載ミドルウェア、データ取得/処理用ツール、オーサリング/診断ソリューション、自動車用サイバーセキュリティソリューションおよびエンドツーエンドのエンジニアリング/コンサルティングサービスを中心に構成されています。自動車メーカーやサプライヤーは、ETASの製品、ソリューション、サービスを利活用することで、独自性の高いビークルソフトウェアの効率的な開発、運用、セキュリティ保護を実現することができます。
さらに詳しい情報はwww.etas.comを参照してください。