ETASにおけるSAFeの導入

Günter Gromeier、Adrian Hanussekへのインタビュー

ETASは数年前、計測・適合・診断(MCD)とソフトウェアエンジニアリング(SE)の2つの分野においてScaled Agile Framework(SAFe)を導入しました。その背景について、営業部門 取締役副社長のGünter Gromeier、エンジニアリング担当ヴァイスプレジデントのAdrian Hanussekの二人に聞きました。

Günter Gromeier(左)とAdrian Hanussek(右)

SAFeといえば、主に開発領域のトピックになりますか?

Günter Gromeier: SAFeに関しては、製品管理と開発との間に決まった境界線はありません。どちらの領域も等しくプロジェクトの始動に関わりました。ポートフォリオ管理*における役割とエンジニアリング管理における役割は互いに補完し合うものであり、緊密な協力が行われています。

変革のキーポイントは?

Adrian Hanussek: 目標は、アジャイルな組織原理を体系的に適用し、未来に備えてETASの体制を整えることです。どのような組織構造が事業の成長にとってベストであるのか、私たちは自問してきました。本プロジェクトが始まる前の組織構造は、社員を部門やグループに配属するという従来型のものでした。しかし責任や役割が重複することによって対立が生じてしまい、時間とエネルギーが無駄に費やされることがよくありました。また、いくつかの領域ですでに存在していたScrumチームについては、組織の規模を調整するのが難しいことがわかったのです。私たちに必要だったのは、構造を一新してコミュニケーションと同期のプロセスを簡素化し、組織間の連携を強め、応答性と効率性を高めることでした。そしてその構造は、社員が現代的な環境において十分な支援を得てスキルアップできるようなものであるべきなのです。

SAFeの導入がもたらす最大の変化は?

Günter Gromeier: 最も明らかな変化といえば、組織を「トレイン」と呼ばれる業務構造と「チャプター」と呼ばれる組織構造とに分けたことです。共同作業のスタイルも、SAFeの潜在的なメリットを最大限に活かせるよう調整しています。意思決定はヒエラルキーの中の個人が下すものではなくなり、さまざまな「役割」に責任が分散されます。.

チャプターとトレインとの連携は、どのように?

Adrian Hanussek: チャプターには、同種のスキルを持ち、似たような役割と職務を遂行する人材が集められます。このチャプターから各プロジェクトにスタッフが供給され、「アジャイルリリーストレイン」という組織ができます。彼らはプロジェクトの目標とソリューションを定義し、優先順位付けや予算組みも行います。 このような構造にすることで、共同作業、立案、透明性、企業戦略と組織構造との整合性、といった面での改善が得られるだけでなく、社員のモチベーションと満足感を高めることもできるでしょう。

変化に備えて、社員はどのような準備を?

Günter Gromeier: 新しい役割の割り当てには透明性のある方法を用い、さまざまなワークショップやトレーニングコースを実施しました。そうすることで、新しい組織構造を展開するための確かな基盤を作ることができました。また、プロジェクトを開始した当初から、経営陣、人事、労使協議会とも緊密に連絡を取り合いました。

目標は達成されましたか?

Adrian Hanussek: このように大きな変化が確実に根付くのには時間がかかるものですが、それでも私たちが選んだ道は成功へと続いていると確信しています。お客様からいただくフィードバックも、私たちの方向性が正しいことを示しています。

新しいETASの取り組みについてお話しいただき、ありがとうございました。

 

* このインタビューの時点では、Günter GromeierはETAS GmbHのマーケティング・事業戦略・ポートフォリオ管理担当ヴァイスプレジデントでした。