INCA V7.1 Service Pack(サービスパック)9

機能一覧

  • ポーリングモードによる計測
  • J1939 - 拡張マルチプレクサシグナルをサポート
  • J1939 - メッセージビューア・エディタの改良
  • ASAP2 V1.7のトランスフォーマコンセプトに対応
  • ASAP2 V1.7 / CDF V2.1のMODEL_LINKキーワードに対応
  • ES891をサポート

ポーリングモードによる計測

CCPデバイスとXCPデバイス用に新たに採用された「ポーリングモード」での計測においては、INCAがECUに対して周期的に測定データを要求します。ECUは指定されたアドレスのデータを返信するだけでよいため、DAQリスト(データ取得リスト)ベースのメカニズムを実装する必要がありません。すでにDAQリストベースのメカニズムを実装したECUの場合は、ポーリングモードの併用によってより多くの変数を計測することができます。
INCAは新たに、ポーリングモードによる測定をサポートします。このため、データ取得リストに基づくサンプリング機構を備えていないECUから信号を取得することが可能になります。ポーリングモードによる測定では、ECUソフトウェア実装は単に、アドレスにあるメモリの読み取りしかサポートする必要はありません。
測定データの周期的なポーリングは、INCAが行います。ポーリングモードはCCPデバイスとXCPデバイスに使用できます。

J1939 - 拡張マルチプレクサシグナルをサポート

拡張マルチプレクサ(マルチプレクサの多重化)の採用によって、1つのJ1939メッセージ内に複数のマルチプレクサを階層的に定義することが可能になり、1つの信号でより多くの値を表現できるようになりました。
拡張マルチプレクサシグナル対応では、1つのメッセージに複数のマルチプレクサを定義でき、1つの信号で複数のマルチプレクサ値に対して対応できます。

J1939 - メッセージビューア・エディタの改良

定義内容にエラーが含まれるメッセージは、メッセージビューアのメッセージリスト上に警告アイコンで示され、そのメッセージをメッセージエディタで開くと、エラー箇所に警告アイコンが表示されます。
メッセージリストは任意の列を基準にソートでき、またビューアウィンドウ右側のフィールドには、メッセージリスト内で選択されているメッセージに含まれる信号が一覧表示されます。
エディタで警告が警告アイコンで示されるようになりました。
エディタの各列で並べ替えが可能になりました。
メッセージを選択すると、そのメッセージに含まれる信号が表示されるようになりました。

ASAP2 V1.7のトランスフォーマコンセプトに対応

ASAP2 V1.7で導入されたトランスフォーマコンセプトに対応し、特殊アルゴリズムによる適合オブジェクトの適合を実現しました。
ECU内部に定義されたバイナリデータブロック(BLOB)を、通常のパラメータと同じようにINCA上で適合することができます。この際INCAは、ECUソフトウェアメーカーから供給されるDLLファイルに定義された変換アルゴリズムを使用してデータ変換を行います。
INCAは、特殊アルゴリズムによる適合オブジェクトの変換を可能にする、ASAP2 V1.7で定義されているコンセプトをサポートします。適合エンジニアには、ECUデータに最適なビューが表示されます。特殊アルゴリズムのコードは、ECUソフトウェアメーカーが提供するDLLに記述されています。

ASAP2 V1.7 / CDF V2.1のMODEL_LINKキーワードに対応

ECUソフトウェアのモデルパラメータの名前は適合時に変更されることがありますが、作業終了後には、適合された値を元のモデルパラメータに反映させる必要があります。
INCAはASAP2 V1.7とCDF V2.1で導入されたMODEL_LINKキーワードに対応し、このような情報の流れ(モデル→A2Lファイル→適合作業→データ交換ファイル→モデル)の円滑化を実現しました。
適合の世界では、ECUソフトウェアのモデルのパラメータ名が変更されることがよくあります。適合の後、パラメータの値がモデルに戻されます。この戻りを容易にするために(モデル→ECU記述(ASAP2ファイル)→適合→データ交換ファイル→モデル)、INCAではASAP2ファイルとCDFファイルに対してモデルリンク機能をサポートしています。

ES891をサポート

新世代のモジュールコンセプトを採用したECU/バスインターフェースモジュール「ES891」がサポートされました。ES891は、1つのINCAハードウェアシステム内で最大5台まで使用できます。
INCAは、1つのシステムに接続されているES891 FETK ECU/バスインターフェースモジュールを最大5台までサポートします。