ETASは、GM提供のアップデートに対応するため、標準ユーティリティモジュールの開発と保守に取り組んでいます。AUTOSARの豊富な経験に基づき、GMと積極的に協力し継続的な仕様改良に取り組んでいます。
ETAS RTA-SUMが提供するSUMの一覧
SUM_SUSD – スタートアップシャットダウンコーディネーター
SUM_SUSDには、次の機能があります。
- Application State Manager
- Application SW-C Start / Shutdown
- Operating/Battery Voltage Monitor
- Wakeup Reason DID
SUM_SUSDが実行する機能を理解するには、AUTOSARで定義されるEcuMおよびBswM BSWモジュールの動作を理解する必要があります。
SUM_PNC - パーシャルネットワークコーディネーター
SUM_PNCは、PN(パーシャルネットワーク)に属するECUのPNに関連するすべてのBSWサービスを管理します。これは、PNに属するすべてのECUに実装する必要があります。これにより、他のすべてのSW-Cがデータのソースから抽象化されて機能するようになります。
SUM_ERRH - エラー処理モジュール
SUM_ERRHには、BSW Production ErrorまたはSUMエラーイベントによって作成されたエラーイベントが通知されます。SUM_ERRHは適切なデバウンスアルゴリズムでイベントをフィルタリングし、その結果に基づいてDem-Module(Diagnostic Event Manager)にイベントとテスト結果を通知します。Dem-Moduleは、ステータスバイトの維持も担っています。
SUM_TCS -(グローバル)タイミングクライアントサービス
SUM_TCSの主な機能は同期されたタイムスタンプの提供であり、TS_Slaveとして指定されたすべてのECUにDTC(Diagnostic Trouble Codes)用の拡張日付レコードを付与します。SUM_TCSは、制御機能を提供したり、車両の運転者/乗客が閲覧可能なデータを表示したりするためのものではありません。
SUM_TCSは、マスタークロック機能(TS_Master)を持つECUからシリアルデータ通信バス経由で信号(TimeSyncMessage)を受信します。マスタークロック信号の分解能と伝送速度は、診断チームによって定義されます。
SUM_SSC - セキュリティサービスコーディネーター
SUM_SSCは、BSW暗号化スタックに接続するメインのSUMであり、セキュリティに関連するすべてのBSWサービスを管理します。SUM_SSCは、メッセージ認証、ECUセキュリティロック解除、セキュリティペリフェラルキーのプロビジョニングなど、すべてのセキュリティ関連の機能を実装するためのものです。サポートする機能については、ECU上のHSMの仕様に依存します。
SUM_SSM - 信号ステータス監視
SUM_SSMは、受信したシリアルデータ信号に関連付けられたデータ値のさまざまなステータス表示を解釈し、各機能のアプリケーションソフトウェアに一貫したインターフェースを提供するための標準実装を定義することを目的としています。SUM_SSMの目的は、受信信号の「シグナルインテグリティ」と「ソースインテグリティと」いうステータス情報を処理することです。
「シグナルインテグリティ」ステータスは、正常に受信された信号をローカル SW-C で使用できるかどうかを示す特別な値(フラグ)を解釈することによって確定します。「ソースインテグリティ」ステータスは、物理層の障害状態による送信者からの送信エラーを検出することによって確定します。
これらのエラー処理には、ECU固有または機能固有の障害処理手順を使用することがあります。SUM_SSMは一連の標準化されたメカニズムを実装することにより、シリアルデータ信号を受信した側が信号データ値を使用するか破棄するかを判断できるようにします。
SUM_LNM - LINネットワークマネージャ
SUM_LNMは、LINネットワークのマスターであるECUのLIN ネットワーク管理に関連するBSWサービスとの連携を管理します。1つのネットワークにつき1つのSUM_LNMが必要です。そのため、例えば1つのECUが3つのLINネットワークのLINマスターである場合、そのECUには、各LINネットワークを制御する3つのスタンドアロンSUM_LNMソフトウェアコンポジションを実装する必要があります。
SUM_DIAG -(グローバル)診断アプリケーションサービス
SUM_DIAGは主に、UDSサービスの製造元による前提条件の検証、製造元の有効化カウンタ値の管理、無線プログラミング状態フラグの管理など、アプリケーションレベルの診断機能を実装するために使用することを目的としています。
SUM_SOH – ヘルスマネージャの状態
SUM_SOHは、ECU通信システム、HW、OS、およびSWコンポーネントの運用上の健全性の多方面の監視とレポート作成をサポートするために必要な機能を展開します。信頼性モニターと呼ばれる特定のソフトウェア機能の実装により、SUM_SOHは、リセットイベント、NVMおよびOSエラー、シャットダウン遅延、通信セッションイベント、およびウォッチドッグマネージャによって監視されるエンティティの状態の監視を担います。SUM_SOHは、そのような監視対象イベントに関するデータをアドホックDID経由で提供します。