ES800 – 計測・適合・プロトタイピングシステム

モジュール構造のES800製品ファミリは、高機能ECUの計測、適合、プロトタイピングを可能にする汎用性に優れたハードウェアです。

ES800システム。上から順に、ECU/バスインターフェースモジュールのES891、およびドライブレコーダモジュールES820で構成されています

ES89xは、ECUインターフェース(FETK / XETK)とバスインターフェース(CAN、CAN FD、FlexRay、LIN)をサポートしています。ホストPCとの接続用にはギガビットイーサネットインターフェースを搭載します。ECU/バスインターフェースとしては、FETK用ギガビットイーサネットインターフェース(x 2)、XETK用ファーストイーサネットインターフェース(x 1)、CAN FDにも使用できるCANインターフェース(x 2)、FlexRayインターフェース(チャンネルA/B x 1)が搭載されています。ES892にはFlexRayインターフェースがありませんが、CAN/CAN FDチャンネルの数がES891よりも2点多くなっています。ES891のFlexRayインターフェースの2チャンネル(チャンネルA/B用)は、INCAからの設定でCANまたはCAN FDチャンネルとして使用することができます。

これらのインターフェースモジュールに続き、高性能ドライブレコーダモジュールES820もリリースされました。ES89xとES820を結合した計測システムは、試験走行の1日を通してエンジンECUの一般的な信号をすべて継続的に同期計測し、記録することを可能にします。

ES830は、最大3個のECUにおいて同時実行される計算負荷の大きいアプリケーションに対応できる高性能ラピッドプロトタイピングモジュールです。ES830は、ECUファンクションのラピッドプロトタイピングとECUの計測・適合とを並行して実行することができます。ES89xインターフェースモジュールとFETK ECUインターフェースを組み合わせれば、外部バイパスを利用した物理環境で、リアルタイム性が求められる計算集約的なECUファンクションを検証することができます。

ES882ES886 BR_XETK ECU/バスインターフェースモジュールは、BR_XETK(車載イーサネット経由)、XETK(ファーストイーサネット経由)のECUインターフェースと、CAN、CAN FDおよびLINのバスインターフェースに対応しています。いずれのモジュールもホスト用に1つ、計測モジュールや他のインターフェースモジュールの接続用に1つのギガビットイーサネットインターフェースを備えています。ES882もES886も、ES820/ES830モジュールやES400ES600製品ファミリの計測モジュールなど、様々なETAS製品と組み合わせることができます。ES886は、ネットワーク上のイベントを常時追跡する「イーサネットモニタリング」の機能が搭載されています。ETASが提供するCベースのライブラリを使用すれば、ES88xモジュール(およびES89xモジュール)を他の各種ツールと統合することも可能です。

フレキシブルでスケーラブル

ES800ハードウェア製品ファミリを基盤として実車やテストベンチにセットアップされた計測・適合・プロトタイピングシステムは、機能範囲や処理能力、インターフェースの点数を拡張することが可能です。モジュール間はコネクタのみで接合でき、ケーブルが不要です。安定したモジュール型ハードウェアシステムを用いたこのソリューションは、あらゆるユースケースに対応します。

モジュール構造

ES800システムは、次世代自動車向け電子制御システムの開発を対象としています。堅固なメカニズムでデバイスを上下に接合して「モジュールスタック」を構成することができ、モジュール同士を機械的にも電子的にも確実に接続して同期させることができます。これにより、インターフェースモジュール、プロトタイピングハードウェアおよびドライブレコーダからなるオーダーメイドの高性能システムを容易に構築することができます。