ETAS ES886 ECU/バスインターフェースモジュールは、計測・適合・プロトタイピングに利用できる高性能ハードウェアシリーズ「 ES800製品ファミリ」の一員です。このモジュールは、車載イーサネット対応のECUや、CANなどの車載バスをES800システムに接続するインターフェース機能を搭載し、最新のプロトコルを用いたデータ通信のトラフィックを監視することもできます。
ECUインターフェースであるBroadR-Reach® BR_XETKやINCAソフトウェアとの併用により、車両内やテストベンチにおいて電子システムの検証・適合ソリューションを提供し、システム全体の統合に向けて大きな手助けとなります。
主な機能
ES886モジュールは各種車載バス(イーサネット、CAN、CAN FD、LINなど)に加え、ETASのECUインターフェースであるBR_XETKとXETKをサポートし、1台のES886モジュールに3台のBR_XETKを同時に接続することができます。そのほか、ES400/ES600製品ファミリの計測モジュール、ES523、ES592、ES593-D、ES595 ECUインターフェースモジュール、ES9xxプロトタイピング/インターフェースモジュールを、ファーストイーサネットで接続することができます。
イーサネットモニタリング
ES886モジュールにはイーサネットの通信状態を常に監視する機能が搭載され、最大4個のポート、および最大2台のBR_XETKを接続し、これらを同時にモニタリングします。イーサネットモニタリングと同時にデータを送信することもできます。
イーサネットモニタリングは 100Base-T1 にダイレクトに接続しAUTOSAR PDUまたはSOME/IP を使用します。データパケットは内蔵のTAP/CAP(テストアクセスポート/キャプチャリング)機能により受動的かつトランスペアレントに複製されます。
ES886を用いたタッピングには、AEポート1、2および3、4を使用します。AEポート1,2および3,4の4ポートは同時タッピング可能です。
キャプチャリングは、上記4つのAEポート、GEポートおよびFEポートとの併用も可能です。これらの6ポートのうち、いずれか4ポートが同時使用可能です。
モニタリングには、ゲートウェイをAEポート3および4に直接接続することができます。
すべてのETASインターフェースはタイムスタンプにより1μsの精度で同期され、データはPC上のINCAで表示・記録されます。
用途
- 車載イーサネットを用いたECUの適合とプロトタイピング
- ES886接続点でのVLANフィルタリングにより、計測ネットワークからホストへのイーサネットバスの過負荷を回避
- 車両やテストベンチにおける高速な計測・実験
- INCA7.2 SP13以降では、AUTOSAR PDUのイーサネットモニタリングが可能。SOME-IPによるイーサネットモニタリング機能は、INCA V7.2 SP15以降で使用可能。*それぞれの最新のファームウェアへの更新が必要となります。
特長
- キャプチャ中でもインターフェース間のデータトラフィックに影響を及ぼさないイーサネットモニタリング
- ES886のイーサネット監視VLANフィルタリングにより、ホストへのイーサネットバスの過負荷を抑制
- 標準的でオープンな通信:BR_XETKとアプリケーションとの間でXCP-on-Ethernetプロトコルを採用
- マスタクロックへの同期による自動化ソリューションにより、さまざまなタイプの機器で構成された計測システムへの統合が容易、ES886をIEEE1588規格(PTP)準拠の同期マスタとしても使用可能
- ETASハードウェアシステムにより、BR_XETK ECU、XETK ECU、各種車載バス、各種計測モジュールからの信号を最高1μsの精度で時刻同期的に収集
- ES88x/ES89xモジュールは、ETASが提供するCベースのライブラリを使用して他社製ツールに統合することが可能
- INCAとのシームレスな統合
- Automotive Ethernet BroadR-Reach®インターフェース x 4(うち3つをBR_XETKに使用可能)、ギガビットイーサネットポート x 1、XETK/ファーストイーサネットポート x 1
- CAN/CAN FDインターフェース x 5
- LINインターフェース x 1
- CAN / CAN FDウェイクアップを設定可能
- ES800ファミリ製品を容易に接合できるシンプルなプラグイン構造
- 堅牢なメタル筐体(IP44)