ES523 – CAN FDインターフェースモジュール

ETAS ES523 CAN FDインターフェースモジュールは、ECUの適合、診断、フラッシュプログラミングや、ECUとその環境からの計測データを収集するための製品です。4個のCANチャンネルと3個のEthernetチャンネルを提供し、新しい高性能なCAN FD(データ転送速度がフレキシブルなCAN)プロトコルをすべてのCANチャンネルでサポートしています。接続される計測モジュールにはEthernetインターフェースの接続を介して電力が供給されるので、モジュール間の配線は最小限で済みます。機器および接続されているETASハードウェアによって取り込まれる信号は1µsの時間分解能で同期化されます。他のツール環境にこのモジュールを組み込む場合は、ETAS ECU/バスインターフェース統合パッケージ(EBI-IP)を使用できます。

主な特長

  • 堅牢で省スペース型の金属製筐体
  • 電気的に絶縁された4個のCANチャンネル(Bosch製M-CANコントローラ搭載)
  • CAN FDではデータを最大5Mbit/sの速度で転送可能(実験室の条件ではさらに高速)
  • ISO適合バージョンとISO非適合バージョン(CAN FD V1)の両方のCAN FDプロトコルをサポート
  • 2個のCANチャンネルによる機器のウェイクアップ
  • 追加のETASインターフェースモジュールや計測モジュールを接続するための、3個のFast Ethernet ポート(電源内蔵)
  • 時刻同期計測データの収集
  • 既存のツール環境と統合できるオープンインターフェース

時刻同期にデータを収集

ES523モジュールは、CANチャンネルやEthernetチャンネルを介して計測されるすべての信号を同期化します。そのためこのモジュールは、短いタイムフレームでECUからXETKインターフェースを介してEthernet経由で転送される信号をCANやCAN FDの信号と同期して収集するタスクに最適です。

計測テクノロジーをフレキシブルに増強

ES523インターフェースモジュールには、ECUと車載ネットワークだけでなく、ETASのES400ES600製品群のEthernet計測モジュールも接続できます。接続した計測モジュールへの電力供給は、Ethernetコネクタに内蔵されている接続を介して行われます。

対応しているソフトウェア

ES523モジュールは、ETASの計測・ECU適合用ツールであるINCAソフトウェアのバージョン7.1.7以降と、ECU診断・フラッシュプログラミング用アドオンのINCA ODX-LINKおよびODX-FLASHのバージョン1.5.7以降によりサポートされています。ES523モジュールをBUSMASTERオープンソースソフトウェアツールと連動させて使用することで、CAN FDネットワークのシミュレーション、解析、テストを行うことができます。さらに、ETASハードウェアサービスパック(HSP)のバージョン10.7.0以降からは、ES523のファームウェアアップデートが提供されます。

オープンインターフェース

ETASのEBI-IP(ECU/バスインターフェース統合パッケージ)ソフトウェアパッケージを使用すると、ECU/バスインターフェースを他社製アプリケーションに統合することができます。このパッケージは、ETASのウェブサイトにあるダウンロードセンターから無料でダウンロードできます。

CAN FD

CAN FD(データ転送速度がフレキシブルなCAN)は、Boschが開発した下位互換性のある改良型のCANプロトコルです。CANとの主な違いは、1メッセージ当たりのペイロードデータが8バイトから64バイトに拡張され、転送速度が最高8Mbit/sに高速化し、またチェックサムが長くなり転送の信頼性が高まったことです。CAN FDは、より高い帯域幅をネットワークに求める自動車業界のニーズに応えます。さらに、CAN FDノードは既存のCANインフラストラクチャにも容易に統合することができます。