増設した2つのCANインターフェースは、個別に高速または低速のCANバス用に設定できます。このモジュールは、CAN FDインターフェースとして使用する場合は高速バスだけをサポートします。高速バスはTJA1044Gトランシーバ経由で接続され、低速バスはTJA1055トランシーバ経由で接続されます。
このモジュールは ISO準拠版とISO非準拠版のCAN FDプロトコルをサポートしています。
ラピッドプロトタイピング実験を行うために、INTECRIOとCAN FD-I/OファンクションまたはXCP-on-CAN FDバイパスファンクションを使用してECUバイパスを構成することができます。ES922モジュールによって増設した2つのCAN FDインターフェースを使用することで、ES910モジュールのプロトタイピングファンクションを車載ネットワーク内のさらに2つのCANバスに接続することができます。
測定・適合を行うために、INCAとES922 CAN FDインターフェースを使用して車載バスからデータを収集することができます。INCAのバージョン7.2.6以降では、ES922モジュールを用いる測定と適合をサポートしています。たとえば、ES910モジュール経由でCAN FDバイパスに接続されているECUをINCAで適合することができます。
CAN FD
CAN FD(CAN with Flexible Data Rate: データ転送速度がフレキシブルなCAN)は、BOSCHがCANを改良して開発した後方互換性のあるプロトコルです。CANとの主な違いは、1メッセージあたりのペイロードデータが8バイトから64バイトに増えたこと、伝送速度が最高8 Mbit/sに上がったこと、またチェックサムが長くなり伝送の信頼性が高まったことです。CAN FDは、ネットワークの帯域幅の増加を求める自動車業界のニーズに応えます。さらに、CAN FDノードは、既存のCANインフラストラクチャに簡単に統合することができます。