大規模なECUプロジェクトの高速処理を支援
- マルチコアPCの計算能力をフルに活用
- 表示オプションが強化された新しい高性能のオシロスコープ
- 実験を継続しながら適合データを比較
- GPSデータに基づき、路上試験のルートを計測データアナライザ(MDA) でグラフィカルに表示
- INCA-EIP で複数のラピッドプロトタイピングモジュールを同時に利用
- ETAS小型ハードウェアモジュールES415およびES930をサポート
ETAS INCAは、計測・適合タスクの大部分に対応できる製品として、世界中で第一候補に挙がる製品です。たとえ非常に複雑な制御システムを扱う現場でも、ETASの統合計測・ECU適合・診断環境の新バージョンINCA V7.1が日々の作業を迅速化します。
INCA V7.1ではシステムパフォーマンスが向上しました。INCA V7.1を使用すれば、大量の計測・適合パラメータを使用するECUプロジェクトも迅速に処理できます。大規模な実験も明らかに短時間で開始できるようになりました。さらに、変数選択ダイアログボックスを開く操作も作業操作も、非常に手早く行えるようになりました。
データを取得する時には、INCA V7.1はマルチコアPCの使用可能なすべてのプロセッサカーネルを利用します。新しいINCAオシロスコープの表示はPCのグラフィックアダプタにより操作されるので、メインプロセッサには負荷がかかりません。記録中に計測ファイルにインデックスを付けることができるので、適切なデータをMDAで開いて作業する処理をかなり高速化できます。
快適に実験
INCA V7.1の実験環境に組み込まれている新しいオシロスコープでは、アナログ計測値を複数の水平ストリップに分けて表示できるので、各種信号グループのグラフを上下に積み重ねて表示できます。そして、このオシロスコープでは動的な軸がその時々の計測値に自動的に適応するので、常に計測範囲全体が表示されます。
計測データを分析するために、計測セッションを継続しながらオシロスコープの表示を止めて巻き戻すことができます。この方法では、取得済みの計測値を手早く評価するのにカーソルが役立ちます。分析モードを終了すると、その時々の計測値が再び自動的に表示されるようになります。
INCA V7.1では、実験環境と適合データマネージャ(CDM)を同時に開いて、CDM内の最新の適合データとリファレンスページのデータを比較することができます。同様のアクションにより、実験環境を開いたままでCDM内の複数組のワーキングデータを比較してコピーすることもできます。
しかも、INCA V7.1では、計測変数だけでなく、一連のパラメータ値もカラーで強調表示できるようになりました。実験環境のスペースを節約する手段として、計測・適合テーブル内の値の物理単位表示のオンとオフを切り替えられるようになりました。
新しいハードウェアオプション
INCA V7.1はETASおよびサードパーティベンダーの新しいハードウェアモジュールを数多くサポートしています。統合できる多用途のモジュールには、たとえばアナログやデジタルのさまざまな入力と出力を全範囲にわたって提供できる新しいETAS ES930マルチI/Oモジュールや、アナログデータを100kHzで収集できるES415 4チャンネル新モジュールなどがあります。
CANインターフェースは、Kvaser社の各種デバイスやVector Informatik社の新しいモジュールをサポートしています。
GPSデータを計測データアナライザで表示
計測データアナライザ(MDA) の新機能に、GPSデータ表示機能があります。これにより、路上試験のルートをロードマップに挿入できます。このために、ライセンスフリーのOpenStreetMapファイルが使用されます。計測のドキュメンテーション機能が拡張され、使用される計測ハードウェアとファームウェアバージョンについての情報が追加されるようになりました。この情報はINCAによりMDF4計測ファイルに格納されるので、後でMDAに表示できます。
さらに、新しいMDAにはユーザーコントロールを支援する数々の改良点があります。たとえばツールオプションでは、イベントトレースのオシロスコープ表示のオンとオフを切り替えることができ、分析カーソルのナビゲーションのために標準増分を入力できます。
規格への適合
INCA V7.1は、車両バス記述およびECUとの通信のための規格であるFibex V3.1.1およびXCP V1.1をサポートしています。CANモニタリングについては、DBCファイルに加えて、AUTOSARシステム構成テンプレートのV3.1およびV3.2もサポートするようになりました。ASAM MCD-2 MCのキーワード「VIRTUAL」を使用すると、仮想計測変数を規格に従ってA2Lファイルに格納できるので、後で、INCAとは無関係の定義にも使用できます。
ETAS ODX-LINKによる診断
INCAの診断用アドオンODX-LINKでは、必要な設定が大幅に減りました。接続されているECUのOBDインターフェースをINCAが自動的に認識して設定します。ODX-LINKは必要な通信パラメータをODXファイルから取得するので、A2Lファイルは必要ありません。すべてのOBD診断値は、実験環境のボタンをクリックするだけでECUから読み取ることができ、また、スナップショット生成前にはINCAが自動的に読み取るようになりました。
ラピッドプロトタイピング
ETAS INCA-EIP アドオンを一緒に使用すると、INCAをラピッドプロトタイピングにも使用できます。最新バージョンのINCA-EIPは、接続されているプロトタイピングモジュールを一度に複数個サポートできます。INTECRIO-RLINK というETASの新しいブロックセットにより、Windows PCでもETASプロトタイピングターゲットでも実行できるコードをSimulink®モデルから生成できるようになります。どちらで実行する場合でも、INCA-EIP V7.1により慣れ親しんだ方法で計測・適合を実行できます。
バージョンの切り替えも簡単
従来のバージョンと同様に、INCA V7.1も他のバージョンのINCAとの共存インストールが可能です。従来のバージョンのワーキングエレメントも容易に再利用できます。INCA V7.0のライセンスキーは現在も有効です。